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「リスのチコのはつこい」

 リスのチコの初恋

絵・イマカシコシ

0415

おおきなもりには たくさんの どうぶつや いきものが くらしています。

 

 

そんな おおきなもりのなか、

とあるクルミの きには

リスのがっこうが ありました。

 

リスのがっこうに かようのは

こどものリスたちです。

 


 

あさから ひるまで がっこうで べんきょうして、

リスの こどもたちは いえに かえります。

チコは いえにかえるまでに よりみちをするのが すきでした。

あまい かおりがする おみせ、

いろとりどりの かざりがある おみせ、

ほんが ならんだ おみせ。

あるひ、チコは ともだちのポロとジュイに いいました。

「わたし、とっても すきなひとが いるの」

ポロはニコニコわらって います。

「わたしも いるわ。おとうさんと おかあさん」

「ぼくも いるよ。ポロと、チコ」

チコは くびを ふります。

「ちがうの、ちがうの。わたしの とってもすきは、ちがうの」

「ぼくの すきと、なにが ちがうの?」

ジュイに きかれて こまったチコは、とにかく ちがうと こたえます。

ポロは うなずいて、

「チコはチコのパパとママみたいに、

その すきなひとと かぞくに なりたいのね」

と いって えがおに なりました。

「いいわ。わたしが きょうりょく してあげる。ほら、ジュイも」

「え、うん」

さんにんは さっそくチコの とてもすきなひとに あいに いきました。

ほんが ならんだ おみせの そとに

ホウキで そうじを している ひとが います。

チコは はずかしそうに、でも うれしそうにポロとジュイに いいました。

「あの ひとよ。とっても すてきでしょう」

ポロはニコニコわらって、ジュイは そっぽを むきました。

「ポロ、ジュイ、どうしたら いい?」

「そうね。わたしの おとうさんが おかあさんに いったのは

まいにち きみの りょうりだけを たべたい、って きいてるわ」

「ぼくは いやだね。たまには そとで たべたい じゃないか」

チコは ちょっと かんがえて、

「いっしょに ごはんを たべましょう、で いいんじゃ ないかしら。

それなら どこにでも いけるわ」

そう いって おみせの ほうへ あるいて いきました。

「やあ、こんにちは」

ちかくに きたチコに、ホウキを もった おにいさんが あいさつを します。

「こ こ こんにちわ」

チコは むしが なく ような こえで あいさつを かえしました。

とおくからポロとジュイが みまもって います。

「あの、あの、きょうの おゆうはんの よていは ありますか」

「そうだな、おくさんが つくるから わからないや。

わからないから たのしみな よてい」

「それは とても たのしみ ですね。さようなら」

「いつも きてくれて ありがとう、きを つけて かえるんだよ」

ポロとジュイの ところへ もどっても、

チコは ひとことも おはなし しないで いえに かえりました。

よくじつ、ちょうしょくの じかん よりまえにポロとジュイが

チコの いえに やって きました。

「わたしの すきなフルーツを もってきたの。

わたしと いっしょに たべましょう」

「ぼくの すきなタネを もってきたよ。

ぼくと いっしょに たべよう」

チコは なんども うなずいて、

かぞくとポロとジュイと あさごはんを たべました。

「フルーツも、タネも おいしい。ふたりとも、とっても だいすきよ」

さんにんは えがおで がっこうに いきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

おしまい

 

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